何を注意したいのかわからない「出会い事故多し」看板
 景観(看板)についての話に戻ります。

 この国のいたる所に溢れかえる、

●役所・警察・自治会・学校・PTAなどが立てる注意・道徳・スローガンの看板、のぼり、垂れ幕、ポスター、貼り紙

 が、どれほど街の景観をみすぼらしく、汚らしく、幼児的なものにしているか。それには、そこに書かれた「言葉」も大きく影響してきます。
 そもそも「あれに注意しろ、これに気をつけろ、ああしてはいけない、こうしなさい、どうしてわからないの、何回も言ってるでしょ!」というヒステリックな言葉(そのヒステリックさをオブラートでくるんだ、「自称善人」たちのニチャニチャした気持ちの悪い言葉)が、(アナウンスも含めて)これほどまでに氾濫している国は尋常ではない……と言うしかないのですが、その「言葉」がデタラメな日本語であれば、なおさらそれを「無理やり見せつけられた(聞かされた)」ときの怒りは激しくなり、その後にむなしさだけがつのる白いテラスの午後3時という心境にさせられます。

 前々回のエントリー「たった一人の要求で立てられた『スリップ注意』のバカ看板」に掲載した、東京・多摩センター駅前のペデストリアンデッキに立てられた看板もその一種でしたが、そんなバカ看板はこの国の街中にいくらでも乱立しています。今回もそのひとつを取り上げます。またしても、役所と警察が立てた看板です。

出会い事故多し!!.jpg

 これは東京・武蔵野市の三鷹駅近くに広がる住宅地の注意看板です。
 この一帯は田園調布だの成城だのというレベルまでいきませんが、それなりに高級住宅地として知られる一画で、道路がきれいな碁盤の目のように走っています。その何十という道路の交差点のほぼすべてに、これと同じバカ看板が立てられているのです。

 この看板を設置した武蔵野市役所や武蔵野警察署の職員はもちろんのこと、毎日毎日飽きるほど見せつけられている住宅地の住人たちは、「この看板のフレーズ、なんかおかしいなあ。どうにも据わりが悪くてしょうがないぞ」という違和感のひとつも覚えないのでしょうか(つまりそれが、「注意看板なんて誰も見ちゃいない」ことの証拠なのですが)。

 私は通りすがりにこの看板を見て、
 「ほほう。この住宅地では『わたしぃ24歳のOLでぇ、顔はよく石原さとみちゃんに似てるって言われまぁす(はあと)』つーから会ってみたら、石原さとみじゃなくて石原軍団じゃねえかバカヤロウ!──事故が多発しているのか」
 と思いました。
 この住宅地の住人はよほど「出会い」が好きなんだなあ。スケベだなあ。それに、わざわざ路上で赤の他人にまで「事故」の注意をうながすなんて親切だなあ。でもなあ。そのための注意看板にしてはちょっと字が足りないし、「一時停止」とか「左右確認」とか意味不明。本当はこの看板、何を注意したいんだろう──。
 そんなふうに悩みに悩み、苦悩のあまり玉川上水で入水自殺してやろうかと思いました。

 というのはもちろんウソ。この看板の字句のどこがおかしいか、どう書き直せば「最低限、日本語としてまともな看板」になるかは、自転車ですれ違い様に一瞬でわかりました。わからないほうが日本語話者としてどうかしています。
 いや、本当に「どうかしている」としか思えないのですが──多摩センター駅前の看板と同様、こんな看板を設置する側も、見せられる側も、そのおかしさに気づかない人ばかりなのが「この国」です。

 交差点という交差点で「飛び出し注意!」「ブレーキかけろ!」「死亡事故発生地点!」などという、人を小バカにした、おどろおどろしい文句の看板ばかり見せつけられるこの国の街並みにはほとほとうんざりですが、それに加えてそこに書かれた「言葉」がこんなにもテキトーなものであれば、さらに腹が立つばかり。
 パチンコ屋の看板の「パ」の字が取れているなら「×ンコ~、チ×コ~」と笑うこともできますが、人様に向かって偉そうに説教をする看板の言葉がこれじゃあね……。

 この国では、もう長いこと「日本語ブーム」と言われ、漢字検定だのなんだのも受験者が増え、「正しい日本語、美しい日本語」についての意識が高まっている──と言われてますが、そのわりに、こんなデタラメな言葉の看板(やアナウンス)が増え続け、そのことを誰も気にしないのはなぜなのでしょう。
 私はこんなブログを書いているくらいだから、この国のことなんてもう大嫌いだし、日本語に特別な愛着なんかまったく持っていませんが、それにしても巷間言われる「日本語ブーム」と、実際にあらゆるところ(街中、駅、店、テレビ、新聞など)で垂れ流される「現実の日本語」との、あまりにも広い乖離には愕然とするばかりです。

 三鷹駅北口から徒歩数分の某住宅地に住むお金持ちのみなさーん。
 いくらお金があっても、こんないいかげんな言葉の看板を放置していたら、お×むの程度が知れますよ。せめて市や警察に「まともな日本語の看板にしろ!」ぐらい言ってみてはどうでしょうか。
 本当は「こんなギンギラギンの看板で、住宅地の景観を汚らしくするな」と言ってほしいのですが、それはどうせ無理でしょうからね。こういう看板を「汚い」とすら思わないなら仕方ありません。
 えっ、ここまで読んでも「この看板の言葉の、どこがどうおかしいのかわからない」? そういう人は、小学校から国語の勉強をやり直したほうがいいですね。
関連記事


カテゴリ:景観
TOP PAGE

 <<(次)注意看板の残骸を平気で放置する「自称善人」たち

今はなんとか小康状態を保っている「子供の騒音」(前)>>
 
■パンくずリスト

TOP PAGE  >  景観 >  何を注意したいのかわからない「出会い事故多し」看板

■プロフィール

Author:静かな街を考える会 別館
市民グループ「静かな街を考える会」会員のブログ。日本の街にあふれるスピーカー騒音や絶叫騒音、うるさい接客、醜い景観などの問題について書き綴っています。

下記の「カテゴリ」から、気になるテーマを選ぶと読みやすいと思います。また「ブログ内検索」で検索すると、その言葉の含まれたエントリー一覧が表示されます。

「静かな街を考える会」については、このブログのトップエントリーで簡単にご説明しています。詳しくは「静かな街を考える会」のホームページをご覧ください。

■最新記事
■カテゴリ
■月別アーカイブ

■全記事表示リンク
■ブログ内検索

■会員の著書
■リンク
■RSSフィード
■QRコード

QR

■アクセスカウンター

FC2Ad