武士の国?は「世界一うるさい国」だったのである
 本会のホームページに転載されている朝日新聞の読者投稿が、(ひねくれた意味でなく)かなり面白いので、このブログでも紹介して思うところをコメントします。

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朝日新聞 関西版 2015年9月25日(朝刊)

我思う うるさい国をやめよ

日本語学校生 ××・ストルバック(大阪府 24)

 都会に住んでおる我々都市生活者は毎日間断なくあらゆる不要な雑音を聞かされておる。駅と電車内の放送では、静かにしろ、扉から離れろ、車掌は××ですとの旨を叫びおる。店でも同じで、自宅ですら外の音が聞こえ安らかに時間を過ごすことも許されておらん。これでは多くの人が精神的苦痛を与えられ続けるに決まっておろう。

 視覚障害者のためにある告知などは良いことだ。だがその告知も雑音の海の一滴として聞き逃されんばかりであり、いっそ他の99%が消えれば問題どころか快い展開となるであろうに。先進国である日本が「世界一うるさい国」で良いのか。我は良くないと思う。なお、我は日本のアニメで武士言葉に興味を持ち、日本語を学んで1年8カ月になるノルウェー男子である。

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 私は東京に住んでいるので、この投稿を紙面で直接読んだわけじゃないのですが、とてもいいことを書いてくれていると思います。やっぱり外国人のほうが、この国の狂った「音環境」に気づいてくれる人が多いんでしょう。
 ただ、このストルバックさん、日本と日本人について四つの大きな勘違いをしている。

 1.〈これでは多くの人が精神的苦痛を与えられ続けるに決まっておろう〉と書いていますが、むしろ日本人のほとんどが、こうした〈不要な雑音〉を〈雑音〉と感じず、〈精神的苦痛を与えられ続ける〉とも思っていないところが最大の問題なのですよ。
 おそらくストルバックさん、周囲の日本人に「我、日本はうるさ過ぎると思うのである」などと言っては、「はあ?」「ちょーうけるー」「どういうことか、さっぱりわからんねキミ!」などと言われてるんじゃないかと私は想像しますけどね。

 2.〈都会に住んでおる我々都市生活者は〉〈不要な雑音を聞かされておる〉のではなく、日本中どこで暮らそうがたいして変わりはないですよ。都会だろうが田舎だろうがどこでも同じ。
 商店街やスーパー、ショッピングモールに行けば、けたたましいBGMや「お客様にお知らせいたします!」「お願いです、ご注意です!」「ご理解とご協力を!」「買え~買え~!」のおびただしい放送にさらされるし、駅や車内で幼稚なアナウンスを聞かされ続けるのも同じ。
 家にいてもごみ収集車が音楽を鳴らして走り回り、学校から大音量のチャイムや校内放送が響いてくるのも一緒。田舎ほど頻繁に防災無線の放送が轟くというマイナス面もある。どこに住んでも〈雑音の海〉から逃げられる場所はないんですよ。

 3.〈先進国である日本が〉と書いていますが、ここまで凄まじい拡声器騒音が氾濫し、快適な生活環境について考えることもできない人間ばかりの野蛮な国を〈先進国〉と思っているのが間違い。日本というのは、ろくでもない後進国なんですよストルバックさん。

 4.〈武士言葉に興味を持ち〉だそうですが、江戸時代でも武士の比率はせいぜい人口の1割ぐらいだったらしいです。つまり「日本は武士の国」などというカッコイイイメージを持つのがとんでもない勘違い。我々のほとんどは百姓や町人の出なんですから。
 余談ながら、このストルバックさんの文体は〈武士言葉〉というより漢文調というか、明治時代あたりの演説に近いような気がするのですが、興味を持った〈日本のアニメ〉って、なんなんでしょうか?
 まあ、イギリス人はみんな騎士道精神を持っているとか、スペイン人は昼寝ばかりしているとか、イタリア人は一日中自転車を探している(それはない)といったように、どんな国にも他国の人間が勝手に抱くイメージがあるのだから、日本についてどんな幻想を抱いてもかまわない。ただ「日本ハ武士ノ国ナノダナ!」なんて思われると、私なんかは「あ、それ、ウソっすから。ぜーんぜんウソ」と言いたくなりますね。
 しかし、うちの先祖は代々、九州某藩の剣術指南役だったそうですから、拙者は武家の出でござる。
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