道路標識の改竄は逮捕するのに、捨て看板はいいのか?
 このところ、不動産業者の捨て看板(捨てカン、電ビラ、電バリとも言うらしい)問題についてほとんど書いていませんが、それらは相変わらず電柱、道路標識、街灯、街路樹、ガードレールなどに大量にベタベタと貼り付けられています。路上にはパイロンが放置され邪魔で見苦しいばかり。
 私はこのブログに書いていないだけで、看板を見かけると自分で剥がしたり、交番に行って「剥がせ(剥がしてくださいよ~取り締まってくださいよ~仕事してくださいよ~)」と頼んだり、役所に電話して「剥がせ(以下・同)」と言ったりし続けています。

 去年の夏から秋にかけては、2カ所の市役所に乗り込んで対応の強化を直談判したし、警察署にも行って掛け合ったりしました。
 でも、彼らは「通報があれば剥がしますから電話してください」と言うだけ。「道路パトロールは続けています」「巡回中に見つけたら撤去してます」とは言うものの、そんなことをしても焼け石に水だからなんの解決にもなりません。
 ある業者が(物件が売れて)貼らなくなったと思ったら、今度は別の業者が貼るの繰り返しで、町に汚らしい看板が増え続けるだけです。
 最近は、家の周囲で違法看板が多いとわかっている道は、鬱陶しいので避けて通るようになりました。でも、ちょっと自転車で遠出をすると、あちらこちらで看板だらけの道路に出くわすので、そのたびに剥がしたり、交番に行ったりしています。

 で、つい先日「大阪で道路標識にいたずらをした女を逮捕」という記事を見かけた気がしたので、あらためて検索すると、なぜか東スポに一番詳しく載っていました(笑)。

――――――

道路標識改ざんのアーティスト 恋人逮捕で来日出頭の意思表示

2015年01月16日 08時10分

 大阪や京都の市街地で道路標識に人型などのステッカーを貼って交通の危険を生じさせたとして、大阪府警は14日、自称イタリア・フィレンツェ在住の会社員浦川真弥(まみ)容疑者(43)を道路交通法違反の容疑で逮捕した。(中略)
 浦川容疑者と一緒に防犯カメラに写っていた男は交際相手のフランス人芸術家クレ・アブラーム氏(48)とみられる。(後略)

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/356531/

道路標識改竄で逮捕.jpg

検索したら出てきた、改竄された他の標識。

改竄された標識01.jpg

改竄された標識02.jpg

――――――

 なるほどねえ。

 この道路標識の改竄は、確かに法に触れることだし迷惑な行為だと思いますが、これがさっさと摘発されるのに、不動産業者の捨て看板が野放しになっているのは、なぜなんでしょう。
 私は交番に行くときのため、違法看板を見かけると写真に撮ることがありますが、こんなものが町のあちこちに氾濫しているというのに。

不動産業者違法看板04.jpg
車道も歩道も狭いのに、ガードレールから左右にはみ出している看板。どうやって通れというのか

不動産業者違法看板03.jpg
カーブミラーの柱に何枚も案内板を貼り、パイロンまで置いている

不動産業者違法看板02.jpg
マット界のど真ん中を行く、お前は長州力か!

不動産業者違法看板01.jpg
今まで見た中で最悪の業者。大量の捨て看板が奥の方にも続いてます。この写真を見た警官はさすがに「これは酷い」とうめいてましたが、犯罪として検挙してくれないんだよなあ

 ここに載せたのは東京都内のあちこちで撮影した写真で、不動産業者の看板の中でも特に酷いケースですが、例えば電柱一本に1枚だけ貼ってあるようなものでも、それが何百mも続いていて、とても目の当てられない町並みになっている場所は至る所にあります。

 今回の道路標識へのいたずらが「交通の危険を生じさせる」ものであるなら、不動産業者の看板も同じでしょう。あの手の看板が車のドライバーに標識と錯誤させる意図を持っているのは明らかだし、路上のパイロンは邪魔でしょうがない。電柱やガードレールからはみ出た看板が自転車や歩行者にとって危険なことは、上の画像を見れば一目瞭然のはず。
 いちいち画像で指摘しなくても、何度も言うとおり「町のあちこち」にこのような看板が氾濫しているのに、それがまったく「見えない」日本人の視覚認識はどうなっているんでしょう。耳だけでなく目もおかしいんだろうね。

 私は、フランス人のいたずらがいいとは言いませし擁護もしませんが、それなりにスマートで批評性のある行為だとは思います。今回、改竄された標識と不動産業者の違法看板を比べれば、商売のためにベタベタと貼り付けている不動産業者の看板のほうが、その動機も行為も遙かに悪質だと思います。
 それをまったく取り締まらない日本の警察、行政や、せめて自分の家の周りの看板だけでも剥がそうとすらしない大多数の人たちの意識の低さは、いったいなんなんでしょうか。

 今回の事件がテレビのワイドショーで取り上げられたそうで、それを紹介したネットの記事には、

――――――

 司会の羽鳥慎一「アートかもしれないが、アートすべき場所ではないですよ」
 キャスターの赤江珠緒「アートといえば何でも許されると思うなよ、と感じてしまいます」
 標識を勝手にパロディー化した絵柄に作り変えられてはドライバーは戸惑ってしまう。アートというなら、実際の標識ではなくキャンバスのなかで表現しくれと言いたい。

――――――

 などと書いてあります。それなら不動産業者の看板には「広告かもしれないが、広告を貼るべき場所ではないですよ」と思わないのか? 「商売といえば何でも許されると思うなよ」とは感じないのか? 「広告というなら、新聞の折り込みにでも入れてくれと言いたい」とはならないのか?

 まあ、そもそも、おびただしい数の「標語看板」や「管理看板」、のぼりや垂れ幕を「注意してくれてうれち~!」と喜んでいる幼稚な日本人の目には、商売100%の不動産看板すら「ありがた~い御札」か何かに映っているのかもしれません。
 でも、そろそろこうした看板がいかに美観を損ね、町の環境を貧しいものにしているか、考えてみてはどうでしょう。

 スピーカー騒音と同様「道徳を押しつけ」「無神経に人を幼児扱いし」、そして「こうであらねばならない」という「空気」を無意識のうちに作り上げようとする看板の問題ですが、こんなブログはどうでもいいけど少し真面目に考えてみようかと思った方は、中島義道氏の『醜い日本の私』や、芦原義信氏の『街並みの美学』『続・街並みの美学』を一読することをおすすめします。

【追記】

 以前のエントリーでも触れた、東京都の「捨て看板等の共同除却キャンペーン」ですが、調べてみると毎年9月から10月にかけて実施して、11月にその結果を公表しているようです。

「第18回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について
「第17回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について
「第16回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について
「第15回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について
「第14回捨て看板等の共同除却キャンペーン」の実施結果について

 このほか、「東京マラソン」の前には、必ず沿道の貼り紙除去を実施しているようですが、もう、どちらもただのルーティンワークですね。いったいなんの意味があるんでしょう。毎回、発表の末尾にコピペされている「今後とも、都民や関係団体等と連携して、違反広告物の取締りを進めていきます」という文句ほど、「空念仏」と呼ぶにふさわしい言葉はありません。
 あんたたちが、一度でも違法広告物を「取り締まった」ことがあるのか?
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