素直に聞き苦しいぞ「素直に悔しい」
 仕事が忙しくて、だらだら長い文章が書けません。前回の続き、郡山の話は気が向いたらにするとして、ついさっき、本気で驚いた言葉遣いについて。

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 スポニチ

 西武の菊池が23日、西武ドームで契約更改交渉に臨み、200万円減の年俸3800万円でサインした。(中略)来季6年目を迎える左腕は、「今年は素直に悔しい。来年やるという気持ちでいる。勝ち負けの数字を逆にしたい」と意気込んだ。

素直に悔しい.jpg

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 す、素直に悔しい!?
 頓珍漢な言葉遣いも、ついにここまできましたか……。

 スポーツ選手や芸能人や、それに影響された一般人の多くが「素直に嬉しい」などと平気で言うようになって久しいですが、「素直に」という形容動詞は「あるがままに」とか「裏表なく」という意味です。
 「本当に嬉しい」「心の底から嬉しい」というような言い回しなら「嬉しい」という言葉を強調する表現としておかしくありませんが、「素直に嬉しい」と言われると「『素直に』じゃなかったらどうなんだよ。腹の底では嬉しくないのかよ」と問い詰めてやりたくなります。

 「素直に嬉しい」という言い回しだけでも腹が立つのに、今度は「素直に悔しい」の登場ですか。
 私はこんな言い方を今回初めて見た気がするのですが、「悔しい」という負の感情を強調するのに、「素直に」というプラス方向の言葉を付け足して「素直に悔しい」と表現するのは、どう考えてもおかしいだろう。建物の1階と2階で階段がつながってないというか、感情表現としてあまりにもちぐはぐだということです。

 ここまで書いて辞書で調べたところ、

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 デジタル大辞泉

 インタビューでスポーツ選手などが用いる「素直に嬉しい」は、混じりけなしの嬉しさだと強調したのか、結果に不満はあるが、それはそれとして嬉しいとへりくだって見せたのか、はっきりしない言い方である。

素直に嬉しい.jpg

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 と指摘しています。

 「素直に悔しい」なんて、それ以上にあちゃーな表現なんだから、この発言を聞いた新聞記者は、せめて「素直に」を省略して「今年は悔しい」とまとめればいいのに。
 コメントの一部を省略して意味が変わってしまうなら問題ですが、「今年は素直に悔しい」を「今年は悔しい」にするのはかまわないでしょう。「素直に悔しい」というおかしな表現に違和感を覚えず、そのまま紙面に載せてしまう記者の鈍感さには驚いてしまいます。

 これは以前にも書いたことですが、「こちらでよろしいでしょうか」が「こちらでよろしかったでしょうか」になったり、「お伺いします」が「お伺いさせていただきます」になったりと、日本人の喋る言葉がどんどんどんどん「過剰なまでにバカ丁寧」な方向でおかしくなっています。

 脚本家の内館牧子氏はこの現象を著書『カネを積まれても使いたくない日本語』で、<過剰にへり下る、あいまいにぼかす、相手を異様に持ち上げる…。現代は、すぐ「偉そう」と非難され、仲間外れにされ、ネットで叩かれる。だから誰にでも気を使い、おもねり、断定しない。しかし、「気遣い」とオドオドと生きることは別だ(内容紹介文より)>と批判していますし、同様の指摘をした日本語論はたくさんあります。

 それなのに、今回の菊池のコメントのように「私は悔しいんです。嘘じゃありません。その証拠に『素直に』と付け足してるじゃないですか。信じてくださいよ~、STAP細胞はあります!」とでも言いたげな「過剰なへりくだり」の新種まで登場してしまうとは。
 だいたい、プロ野球の選手があまりへりくだった表現をするのは似合わない。スポーツ選手なんだから多少、乱暴に「今年はマジで悔しいっすね」とでも言ってくれたほうが、ずっとそれらしいです。

 このままだと、「素直にまずい」とか「素直に嫌い」なんていうバカげた表現も、すぐに蔓延するのかも。飲食店に行ったら「素直にお待たせいたしました~」なんて言われそうです。そうして、ますます、鬱陶しくて耳障りな「接客騒音」が増えていくんでしょう。
 そんなのある意味全然おかしかったりするかたちじゃないですかあ~(語尾上げ)。
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Author:静かな街を考える会 別館
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