路上の「ごみ箱」から見える日本人の怯え
 またちょっと、テレビを見ていて気づいたことを書きます。

 NHK-BSの『世界ふれあい街歩き』のような、BSの海外旅番組を週に何本か見ます。私はこのブログで、町の「音」や「景観」から見える日本人の行動やものの考え方、コミュニケーションのあり方みたいなものについて、「日本は駄目だ」「日本人が大嫌いだ!」というようなことばかり書いています。

 それは何も「おフランスと比較して日本は」とか、「アメリカ人と違って日本人は」というように海外と比べているわけではなく、自分が日本人として日本に住んでいて「ちょっとおかしいわ!」「バカバカしくて我慢できん!」と思うことを書いているだけです。
 それでも、こういう旅番組を見ると、やはり海外(欧米)と日本を比較せずにいられません。

 テレビで見る限り(欧米なんて実際に行ったことはない)、日本と欧米の「町の環境の違い」は、こんなところにあるような気がします。

 ・日本の町はくどくどやかましいアナウンスや、押しつけがましい(そのくせ意味不明な)標語看板・垂れ幕ばかり。そんなものは欧米にはほとんどない。ビルの壁面などの商業看板も、日本はあまりにごちゃごちゃしていて汚らしい。

 ・店舗の看板も欧米はデザインがしゃれている。日本の看板はただ目立とうとしているだけで、周囲の景観との調和をまったく考えていない。看板を路上に置いたり、商品をはみ出し陳列したりする店はどちらもあるけど、やっぱり日本のほうがそういう店は圧倒的に多いし置き方もひどい。

 ・欧米で電柱や街灯、道路標識に「違法看板」が貼られていることはほとんどない。

 一方、「欧米も日本も変わらないな」とか「欧米のほうがひどいな」と思う点もいくつもあります。

 ・欧米の店はあまりうるさいBGMを流したり、店員が大声を出したりしないが、さすがに「市場」に行くと魚屋や八百屋が日本と同じように濁声を張り上げるところもある。

 ・車のクラクションがうるさかったり、やたらとバイクが多くてうるさい国もある。

 ・犬をギャンギャン鳴かせる、しつけのできないバカ飼い主が多いのは日本も欧米も同じ。

 ・欧米の町はどこに行っても落書きばかり。諦めているのか消そうともしない。

 ・「ストリートミュージシャン」は日本より欧米のほうが多くてうるさいかも。駅のホームや通路、電車の中で演奏する奴までいる。

 ・やっぱり欧米は教会の鐘の音がうるさい。日本の防災無線とどっちがましか?

 ・欧米の町は、移動にスケボーを使う奴が多くてうっとおしい。

 ・石畳の町は車の走行音やキャリーバッグなどの音が響くし、建物が石造りだと人の声も反響するので意外とうるさそう。

 などなど……まあ、こんなことを羅列しているときりがないのですが、一つ「音」や「景観」以外で気になることがあります。それは「ごみ箱」です。

 日本ではオウムの事件や9.11のテロ以降、路上や公園、駅、公共施設や商業施設からごみ箱が姿を消してしまいました。「ごみ箱があるとテロリストに爆発物を入れられる。危険だから撤去するのだ」というのがその理由とされています。今、町でごみ箱があるのはコンビニの店頭ぐらいじゃないでしょうか。
 「テロを防ぐためにごみ箱を撤去する」というこの理屈に、ほとんどの人は疑問を抱いていないようだし、マスコミも批判していません。

 でも、海外の旅番組を見ていると、意外なほど路上や公園、駅などにごみ箱があるようです。私はグルメだの絶景だのはどうでもよくて、ひたすら「路上の景観」や「町の音」に注目してこういう番組を見ているのですが、あるとき、大抵の町には今もごみ箱があることに気づきました。
 先日見たワシントンでも、ちゃんと道路にごみ箱が置いてありました。ワシントンなんて、世界で最もテロを警戒しなければならない町だろうに、それでもちゃんと路上にごみ箱があるわけです。

 それに引き替え、国から命令されたわけでもないのに、自治体や企業が自主的にいそいそと、右にならえであらゆる場所からごみ箱を撤去してしまう日本人の「過剰反応」は、なんなんでしょう。
 冷静に考えて日本がテロ、特に9.11以降で言えば「イスラム過激派のテロ」ということになるのでしょうが、そんなものの標的になる可能性はかなり低いんじゃないでしょうか。だって、イスラムの過激派がわざわざこんなアジアの果ての、直接的な利害関係のない、外交上の存在感もまるでない(笑)日本という3流国でテロをする理由なんて、何もないでしょう。
 実際、9.11以降、日本国内で「テロ」なんて一度も起きていないわけです。
 それなのに、(コンビニの店頭を除く)町のあらゆるところから、一斉にごみ箱をなくしてしまうというのは、どう考えても「怯えすぎ」としか思えません。

 ごみ箱だけでなく、いちいちバスや電車の中で「危険物の持ち込みはご遠慮ください」なんて放送するのも同じ過剰反応です。
 これは「テロ」だけを指したアナウンスじゃないと思いますが、バスジャックにしろ電車ジャック? にしろ、そんなことが起きる可能性がいったいどれほどあるというのか。
 だいたい「このバスをジャックしてやる!」と意気込んでいる人間が「危険物の持ち込みはご遠慮ください」と言われたからといって、「あ、わかりました」とやめるわけないというのに(笑)。そもそも「危険物」とは何を指しているのかも、さっぱりわかりません。
 こんなアナウンスを流しても意味がないし、そもそもあの放送は「このバス(電車)に乗っている奴は、誰もがテロリストかもしれないのだ」と決めつける、とてつもなく失礼なアナウンスでもあるのです。「誰もが」というのは「お前もだ」ということなんです。だから私は、このアナウンスを聞かされると猛烈に腹が立ちます。

 テロを防ぐ取り組みがまったく必要ないとは言いません。飛行機で外国と直接繋がる空港で、搭乗検査を厳しくしたりするのはやむを得ないことでしょう。
 でも、「こんなところで、誰がテロを起こすんだよ!」と言いたくなるような郊外の公園や田舎町の路上からもごみ箱を撤去したり、「危険物の持ち込みはご遠慮ください」はもちろん、どんなに小さなことでも 「~にご注意ください!」「~に気をつけましょう!」と、いちいちアナウンスや看板、垂れ幕で「ご注意」したり(されたり)しなければ気が済まない日本人の「気の小ささ」というのは、本当にグロテスクな域に達していると思います。
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