「音」でも暴行罪が適用されるという判例
 ある本を読んでいたら、「刑法では、身体的な接触がなくても、音などで相手を意識朦朧とさせれば暴行罪が適用される。その根拠となる判例もある」と書いてあったので、調べてみました。

――――――

 刑法第208条(暴行罪)

 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 http://goo.gl/DBsQHb

――――――

 音でも暴行罪が適用されるという判例が、これ。

――――――

 刑法第208条にいう暴行の意義

  刑法第208条にいわゆる暴行とは、人の身体に対し不法な攻撃を加えることをいい、加害者が、室内において相手方の身辺で大太鼓、鉦等を連打し、同人等をして頭脳の感覚が鈍り意識もうろうたる気分を与え、または、脳貧血を起させたりする程度に達せしめたる場合をも包含するものと解すべきである。

 http://goo.gl/HZnmeu

――――――

 昭和29年8月20日の最高裁の判例だそうです。
 どんな事件の裁判かというと、どうやら「ブラスバンド用の太鼓を室内で連打し、被害者を朦朧とさせた事件で音による暴行を認めた」事件のようです。

 http://goo.gl/tC7mR

 の真ん中あたり。なるほど。

 判例では「室内において」とありますが、どんな場所を「室内」と解釈すればいいんでしょうか。また、「大太鼓、鉦等を連打し」とありますが、人を意識朦朧とさせる音は太鼓や鉦に限りません。

 私なんか、電車の車内(室内ですね)で、耳を突き刺すような大音量のアナウンスを聞かされると、意識朦朧としてしまいますよ。家電量販店、ドラッグストア、スーパーなどの店内(室内ですね)で、天井からBGM、商品棚のスピーカーから宣伝放送、店員から「いらっしゃいませええええ!」の絶叫を同時に浴びせかけられると、意識朦朧としてしまいます。ファミレスやファーストフードの店内も同じです。
 おんなじこと、しかも幼稚な内容の放送を何度も何度も繰り返し聞かせられると、すぐ「意識もうろうたる気分」になってしてしまいますが。

 野球場の応援団はどうでしょうか。これこそ「加害者が、室内において相手方の身辺で大太鼓、鉦等を連打し、同人等をして頭脳の感覚が鈍り意識もうろうたる気分を与え、または、脳貧血を起させたりする程度に達せしめたる場合」に相当すると思うんですが。「室内において」が抜けているというのなら、ドーム球場なら適用できるんじゃないか(笑)。

 音の発生源が室内じゃなくても、室内でやられるのと同じように「意識もうろうたる気分を与え」られてしまう騒音だって、山のようにあります。防災無線、デモや演説、そして選挙カー! 商店街のおせっかいなアナウンスや街頭ビジョン、アドトラックの轟音に車のボイスアラーム! 子供の奇声や絶叫、路上ライブ、度を超えた祭りの音!
 隣家の住人の騒音はどうなのか? しつけ方も知らない飼い主が「犬は鳴くのが仕事なんだよ!」なんて、わけのわからない屁理窟で放置し続ける犬の鳴き声は?

 要するに、このブログで取り上げている「音」は、どれでも「頭脳の感覚が鈍り意識もうろうたる気分を与え、または、脳貧血を起させたりする程度に達せしめたる場合」を容易に招く音なのです。
 そういったレベルまで達している音が世の中にはあふれているというのに、ごく一部の人しかそのおかしさを指摘しない(特にスピーカー騒音は)し、異議を申し立てることもしない。また、自分が「暴行罪」に相当するような行為をしている加害者であることにも気づかない。
 それはもう誰もが、「頭脳の感覚が鈍り意識もうろうたる気分を与え、または、脳貧血を起させたりする程度に達」していて、そんな世界に順応してしまっているからなんでしょう。
 「嫌な渡世だなあ」(c勝新)と言うしかありません。
関連記事


カテゴリ:騒音をめぐるあれこれ
TOP PAGE

 <<(次)「とりわけばかばかしい」エスカレーターの注意放送

祭りの本音は「絆」じゃなくて「金儲け」?(前)>>
 
■パンくずリスト

TOP PAGE  >  騒音をめぐるあれこれ >  「音」でも暴行罪が適用されるという判例

■プロフィール

Author:S.B
市民グループ「静かな街を考える会」会員S.Bのブログ。日本の街にあふれるスピーカー騒音や絶叫騒音、うるさい接客、醜い景観などの問題について書き綴っています。

下記の「カテゴリ」から、気になるテーマを選ぶと読みやすいと思います。また「ブログ内検索」で検索すると、その言葉の含まれたエントリー一覧が表示されます。

「静かな街を考える会」については、このブログのトップエントリーで簡単にご説明しています。詳しくは「静かな街を考える会」のホームページをご覧ください。

■最新記事
■カテゴリ
■月別アーカイブ

■全記事表示リンク
■ブログ内検索

■会員の著書(上から順におすすめ)
■リンク
■RSSフィード
■QRコード

QR

■アクセスカウンター

FC2Ad