街頭ビジョンについて武蔵野市役所へ問い合わせ
 先日のエントリー『吉祥寺の終わりを告げる街頭ビジョン』で書いたパチンコ屋の大型ビジョンについては、目にしてすぐ、武蔵野市役所に問い合わせの電話をしました。
 要点は二つ。

 A:この街頭ビジョンができたことを、武蔵野市役所では把握しているか。
 B:法律や条例を遵守して運用されているかどうか確認しているか。

 電話に出た武蔵野市環境部環境政策課の担当者の返事は、Aについて「たまたま、そのパチンコ屋の前を通ったとき目にしたので、街頭ビジョンができたことは知っている」というものでした。
 個人的に目にしたかどうかではなく、設置されたことを自治体として把握しているかどうかについては、「街頭ビジョンは、東京都の屋外広告物条例で設置に許可が必要とされているので、あのビジョンも事前に申請があって、許可を得ているはず……だと思います」との返事でした。

 なんともあやふやですが、電話で「このパチンコ屋が、ちゃんと街頭ビジョンを設置する許可を得たかどうか知りたいです。書類をひっくり返して確認してください」と要求するわけにもいかないので、それはやめました。東京都では、屋外に広告物を掲示するには「屋外広告物条例」に基づいた自治体の許可が必要で、自治体の職員がその許可を「得ているはず」と言っているのだから、とりあえず信用するしかありません。
 そして自治体の許可を得て設置されているとすれば、「あんなものは撤去してくれ」と言っても仕方ありません。原則として、どんな悪法でも法は法と考えるのが法治国家なのだから、あれが合法的に設置された街頭ビジョンであるのなら、(今の段階では)文句をつけてもしょうがないからです。

 次にBについて。こちらは心情的な理由で、まったく納得のいかない返事でした。

 私は「広告物から出す『音』については、都の環境確保条例でさまざまな規制がされています。街頭ビジョンにもこの条例が適用されるはずで、私はそのことについて東京都や新宿区と話をしたこともあるので知っています。で、今回の吉祥寺の街頭ビジョンが、環境確保条例の内容を遵守して運用されているかどうかを、市では確認しているのでしょうか」と質問しました。
 返事は「その点に関しては、市民から『条例違反ではないか』という苦情があれば調査したり指導したりする、という話ですね。現段階ではそういう指摘がないので、特に調べたということはありません」というものでした。

 いや、まあね、確かに「環境確保条例」には「街頭で商業宣伝目的の『音』を出すなら、この条例を守りなさい。守らないと罰則(営業停止)を適用するよ」と書かれているだけです。「スピーカーの設置にあたって、自治体は事前に条例を遵守するよう業者を指導したり、常に監視したりする義務がある」という内容は盛り込まれて「いません」。だから「『条例違反ではないか』という指摘があれば調査したり指導したりするけど、なければしない」というこの担当者の返事は、仕方がないと言えばそれまでです。

 でもなあ。たとえば、市内のすべての店の店頭に置かれたラジカセの音一つひとつを「条例違反の音量ではないか」「条例で定められた時間を過ぎても音を鳴らしているのではないか」などと、いちいちチェックして回るわけにいかないのはわかりますが、駅前にあれだけ目立つ、ラジカセとは比較にならない大きな音を出す街頭ビジョンが(しかも吉祥寺で初めて)できてしまったのだから、環境行政に携わる公務員なら「ん、こんなものができたのか。条例を守って運用しているかどうか、ひとつ確認が必要だな」ぐらいのことは考えてほしかった、というのが私の本音です。それぐらい積極的に動かずに何が環境行政なのか――と。

 だいたい、私みたいなヘンな人間でもなければ、環境確保条例の存在なんて知らないのが当たり前なんだから、「条例に違反してるんじゃないでしょうか」と自治体に問い合わせをする市民がそうそう現れるとは思えません。問い合わせがなければ確認しないじゃ、それはつまり「業者のやりたい放題」になってしまうということです。

 環境確保条例には、スピーカーを設置する場所(地上からの高さやスピーカー間の幅など)や、音量や、音を鳴らしていい時間帯など、さまざまな規制があります。
 私がこの街頭ビジョンを見たのは今のところ一度だけなので、どの項目に違反しているか、もしくは一つも違反せずに運用されているかについては、まったくわかりません。「条例違反の運用をしているんじゃないか」などと、頭から決めつけるつもりはありません。

 でも、条例に違反しているか遵守しているかは別として、ラジカセなんかよりはるかに影響が大きい街頭ビジョンだからこそ、行政は今の段階で積極的に運用方法を確認してほしい。音量や音を鳴らしている時間帯などについては外から確認・計測すればわかることだし、設置場所が合法かどうかも目視でだいたいのことはわかるはずです。それでもし、条例に違反している可能性があれば業者のところに行ってさらに検査したり、罰則を科したりすべきだし、何も違反がなければそのままにしておけばいいでしょう。

 一番、理想的なのは、たとえ確認の結果、条例に違反している点がなかったとしても、ちょっと業者のところへ行って「知っているかどうかわからないけど、街頭ビジョンを設置したら都の環境確保条例を守らなければなりません。条例の内容をプリントして置いていくから、今後もしっかり守って運用してくださいね」と、それぐらいは言っておいてくれることです。
 繰り返しますが、市内にある無数の店のラジカセをすべてチェックして、「条例を守りなさいね」「守りなさいね」と言って回るのは非現実的な話ですが、駅前にドドーンとできてしまった街頭ビジョン1台なんだから、それくらいの積極的な対応は見せてほしかったところです。

 私は電話に出た担当者に、「たとえば新宿のアルタやヤマダ電機の街頭ビジョンは、ずっと条例違反を続けているんですよ。私はそのことを新宿区役所に指摘したことがあるのですが、音量が下げられることも放送時間が短くなることも一切ありません。渋谷だって六本木だって同じですが、どの街頭ビジョンも条例を一切無視して運用され続けているんですよ。今後、吉祥寺が同じようになってしまったら目も当てられません。だからこそ、今のうちに業者に『環境確保条例を守るのは、街頭ビジョンを設置した者の最低限の義務だ』と周知させてほしいんです」と言いましたが、担当者の反応はにぶいものでした。「まあ、たぶん、区役所は指摘があるたびに指導しているんでしょうが、業者が守らないんじゃないんでしょうかねえ」

 悪いけど、これだから駄目なんだ。業者が守らないなら守らせるのが行政の仕事で、そのために法律だの条例だのをちゃんと整備しているのに、その法律や条例を何一つ活用せず、やることなすことすべて後手後手で「守らないんじゃないでしょうかねえ」じゃあ、どうしようもありません。

 ま、新宿だの渋谷だのの街頭ビジョンについて武蔵野市の職員にああだこうだ言うのは筋違いですが、結局、行政の景観や音を含めた「身近な環境」への取り組み意識があまりにも低すぎる、というのが問題なのです。行政がそんな意識のままでいられるほど、人々の「環境」に対する意識が低すぎるのが問題なのです。「ごみを減らしましょおおおお」「二酸化炭素を減らしましょおおおおお」「地球の未来を考えましょおおおおお」なんて、やたらご立派なお題目ばかり唱えることが「環境問題」じゃないんだよ、ほんとにさ。
 もっと自分たちの身の回り、まさに「今、目の前」にある汚らしい音や看板の問題について、どうして日本人というのはこんなにも鈍感でいられるんだろう。

 吉祥寺に限らず、これからもあちこちの町に街頭ビジョンが増殖し、頭の上から「あれ買えーこれ買えー」「これを聞けーあれを見ろー」と強制的に聞かされる騒音だらけになるのは、間違いないでしょう。
 それが映画なら『ブレードランナー』みたいに「サイバーパンクでかっちょえーなー」で済みますが、現実があんなふうになってしまって本当にいいのか? つーか、渋谷あたりなんて完全に「そういう世界」になってしまっていて、しかも誰もそれに異を唱えないんだから、はっきり言ってもう手遅れなんでしょうね。
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カテゴリ:武蔵野市
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Author:静かな街を考える会 別館
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