ノーチャイムにしたいなら、防災無線の放送もやめよう
 うちの周りは、今(夕方5時40分)でも、ガキどもがキーキーギャーギャー騒いでいます。今日は夕方まで不気味なほど静かでほっとしていたのに、4時半を過ぎてから何人かのガキどもが現れて暴れ始めました。

 不思議です。4時半(今の季節はどの自治体も、だいたいこの時間でしょう)には防災無線から盛大に、「子供は家に帰れ」というメロディーが鳴り響くのに、この音楽を聞いて帰る子供など、今まで一人も見たことがないのですから。むしろその放送の後からでも、平気で現れるのですから。

 別にうちの周りだけがそうだというわけではありません。外出先で夕方の「家に帰れ」音楽や放送を聞かされると、私は周りにいる子供がどんなふうに行動するかよく見るのですが、いまだかつて一人も「あ、防災無線が帰れと言ってるから帰ろう!」と(ある意味で)殊勝な行動をとる子供など見たことがありません。

 子供が「もう家に帰ろう」と判断する理由は、だいたいこんなところでしょう。
 ・暗くなってきたから
 ・親に「何時には帰って来い」と言われている時間になったから
 ・腹が減ったから
 ・見たいテレビ番組があるから
 ・塾の時間になったから
 ・遊ぶのに飽きたから
 ・友達が帰ると言うから
 などなど。

 「防災無線が鳴ったら帰って来いと言われてるから帰る」という子供や、自分の子供にそうするようしつけている親というのが、いったい世の中にいるんでしょうか? 少なくとも私は上記の通り、一人も見たことはありません。
 それに「暗くなって、そろそろ遊ぶには危ない時間になってきたから」と、子供なりにちゃんと判断して家に帰るようしつけるならともかく、「音楽が鳴ったら帰る」などと、まるでパブロフの犬のような条件付けをしたって、しつけ上いいことがあるとはとても思えません。
 もう一度書きますが、大切なのは「暗くなってきたら帰らなきゃ」と子供にわからせることであって、「音楽が鳴ったら帰る」ではないのです。日が暮れて暗くなるという自然現象と、音楽や放送を流すという人為的な行為には、なんの関連性もないんですよ。
 その二つを結びつけて、まるで犬のしつけのような条件付けをしても、いいことは何もありません。世の中のお母さん、お父さんも、そのことを薄々わかっているから、子供に「防災無線から音楽が鳴ったら、帰ってくるんだよ」なんてアホなことを教えないのだと思いますが、違いますか?

 先日の朝日新聞に、「ノーチャイム 学校の挑戦」という記事が載っていました。子供たちの自主性を伸ばそうと、各地で「ノーチャイム」を実践している学校の取り組みを紹介したものです。

ノーチャイム

 でも、じつはこんな取り組みはもう数十年も前からずっと続いていることなのです。最近になって急に始まったわけではありません。それなのにいまだにノーチャイムで教える学校はごく一部で、いつまでたっても広まる気配はありません。

 そりゃ、そうでしょうね。子供を音で条件付けするなんてバカなことに、誰も「おかしい」と言わないのが日本の社会なんですから。百万歩譲って「そろそろ帰りましょう」という放送や音楽を、学校内や公園内だけで流すならともかく、自治体の隅から隅まで、各家庭の中にまで、防災無線という暴力的な装置を使って無理やり聞かせるのが当たり前と思っているのが日本社会なんですから。

 ノーチャイムを本気で広めたいのなら、まず、防災無線のおせっかいな放送をやめること。「ああしましょう」「こうしましょう」と、誰彼かまわず「同じ行動をしましょう!」と強制する防災無線の放送に「おかしい」と言わない限り、学校のチャイムやよけいな校内放送だって減るはずはありません。

 それに、私にとって何より腹立たしいのは「防災無線が帰れと言っているのに、そんな放送を無視してギャーギャー遊び回る子供ばかり」という現実です。
 放送を聞いて本当に子供が一斉にいなくなって静かになるなら、教育上どうのこうのなんてことは抜きに「防災無線、ありがとう!」とひれ伏して感謝の言葉を捧げてもいいですが、実際は「防災無線がうるさい、そして、放送を聞いても帰らない子供がうるさい」という、ただの二重苦になっているだけなのですから。

 もし、私が「帰れ」の放送の後も外で遊んでいる子供に「防災無線が帰りなさいと言っているのだから、帰りなさい」と注意したら、きっと「何、このおっさん」という反応しか返ってこないでしょうね。そこに親が現れたら「よけいな口出しはしないでください!」なんて言ってくるでしょうね。場合によっては警察にだって通報されるでしょう。
 でも、おかしなことです。自治体が「子供は帰れ」と放送しているのに、誰もそれを守らない。そして守らない子供に帰るよううながしたら、(間違いなく)白い目で見られるのですから。

 私の住んでいる市では放送していませんが、今は多くの自治体で「子供たちを見守ってください」などという、究極のおせっかい放送が流されています(日本人は「子供を見守れ」と言われなければ見守らないということ?)。ならばよけいに、防災無線の放送を聞いても帰らない子供に「もう帰りなさい」と注意するのは、自治体が求める「市民の正しい責務」だと思うのですが、実際にはそんなことは誰も望まないし、しようともしないのだから不思議です。

 そんなバカげた防災無線の放送に、いったいなんの意味があるんでしょうか。
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カテゴリ:防災無線・広報車・夜回り
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