2012-02-29 Wed 07:28:08
先日、ディーガンさんにお願いして、「アメニティ」のバックナンバーを送っていただき、なんと私の手元には創刊号から最新29号までのすべてがそろいました。それを読んで最も悲しい気持ちになったのは、鉄道アナウンスについての記事でした。
だいたい鉄道アナウンスの騒音は、会が設立された84年から90年代前半くらいまでは、「静かになっていく方向で喜ばしい」という記事が多いのです(特に東京の鉄道では)。会員の書いたレポートのみならず、新聞記事の切り抜きなどを見ても、「うるさい駅が静かになった」という報道がけっこう目に付くのです。
ところが、今では正反対に「どの駅もうるさくなっていく方向で大変なげかわしい」というしかない状況です。社会も「少しでも静かに」ではなく「少しでもうるさく」と、それを後押ししているとしか言えない状態です(今回の新聞記事が典型例)。
そのように一度は静かになりつつあった駅が、90年代半ば頃から、再びとてつもなくうるさくなってきたのにはさまざまな理由があるでしょう。
「地域振興のために」「外国人のために」「体の不自由な人のために」「事故を防ぐために」「老人や子どものために」「エキナカのにぎわいために」etc。騒音を出す側、あるいは出させたいと思う側は、「~のために」という理由をさまざまに編みだします。
そんな中で、よけいな放送を聞きたくない人は「ウォークマン」で自分を防御するだけで「やめろ」という声を上げることはない。「鈍感な人」はまったく無関心であれだけのしつこい大音量放送がそもそもまるで聞こえていない。そして「やさしく理解のある人」は「(私のために、弱者のために、社会のために)もっと放送して! もっと指示して!」と要求することに際限がない。鉄道会社も嬉々としてそれに応じている。
そんな子供じみた行為が蔓延する根底には、「不況」「国際化」「弱者救済」「テクノロジーの変化(進歩ではない)」「日本人のさらなる幼児化」などさまざまな理由が重なり合っていると思われます。しかし音に関して言えば「放送をすれば、~のため、が解決する」などという安易な思い込みがどれほど間違っていることか。
それを論じるには、今回のようなメロディの導入の件一つとってもとても面倒な議論が必要になるのでここには書き尽くせませんが、いずれにせよこのような「~のためには、誰もが~すべき(この場合は社会のためには放送をしつこくすべき、聞く側はそれをありがたく思うべき)」という、いかにも日本人が大好きな一方的偽善的表面的強制的な考え方はますますひどくなっていく一方なので、もはや前途は絶望的というしかないかもしれません。
それにしても、会員の方もそうでない方も、みなさん本当にこんな音漬け社会で平気なんですか?
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カテゴリ:駅・車内
2012-02-29 Wed 07:11:08
今朝の朝日新聞に、ろくでもない情報が載っていました。京王線の聖蹟桜ヶ丘駅で、4月から電車の到着を知らせるメロディーとして、アニメ映画「耳をすませば」のテーマ曲でもある「カントリー・ロード」を流すそうです。
もうため息しか出ません。
私はけっこうなアニメオタク(ほとんど昔のアニメにしか興味ありません)ですが、駅で「カントリー・ロード」だろうが、「翔べ!ガンダム」(西武新宿線下井草駅)、「銀河鉄道999」(同池袋線大泉学園駅)、「鉄腕アトム」(JR山手線高田馬場駅)だろうが、一切強制的に聞かされたくはありません。
記事によれば「より一層、ファンをおもてなしするため」と京王電鉄はコメントしているのですが、なぜこんな押しつけが「おもてなし」になるんでしょうかね。本当に日本の「おもてなし」というのは「くどくて、一方的で、身勝手で、しつこすぎ、勘違いしていること」ばかりです。
だいたい「電車の接近を知らせるための音」ならなおのこと、耳に心地良い(と京王電鉄は判断しているのでしょうが)音楽を鳴らするのは、注意喚起としてまったく逆効果ではないでしょうか。鉄道会社がもっとも重要視すべきことは「安全に、的確に、電車の接近を知らせること」のはずなのに、なぜ、そこにわざわざ聞き心地のよい「おもてなし」が必要なのか? 勘違いもはなはだしい。
駅というのは時速数十キロ、場合によっては百キロを超えるような猛スピードで電車がやってくるところです。そこに必要なのは「安全」や「緊張感」であって、「カントリー・ロード」で「弛緩する」ことではありません。
乗客を音楽に注意を向けさせ安全をないがしろにするという行為は駅がすることではないのはもちろん、乗客の側ももっと、「自分は『走る凶器』が来る場所にいるんだ」という緊張感を持つべきなのに、鉄道会社自身がまったく正反対の方向に乗客を誘導しているのは、本当に本末転倒だと思います。
また私のように、どのような曲であれ駅で音楽など聞かされたくはないと思っている人間の場合は、よけいにイライラさせられるため、反対の意味で電車接近にともなう危険が増すだけでしょうね。
「カントリー・ロード」を喜ぶ人にとっても、私のように聞きたくないと思う人にとっても、どちらにしろこのような「駅としての本分を忘れた行為」は、危険度を増すだけでろくな結果を招かないのです。
記事によれば、この場合の「おもてなし」というのは、「映画のファンが駅周辺を訪れるから」とあります。つまり主に音楽を聞かせたい対象は「ファン」なのです(だから「より一層」というコメントになる)。
聖蹟桜ヶ丘に住んで毎日駅を利用している人の存在はまったく無視して、ごく一部(駅を訪れるファンが、毎日何百人、何千人もいるわけない)の人間のために鉄道会社としての本分をわきまえない「押しつけ音楽」を流すというのは、公共性の高い企業のやることではありません。
ましてや、そういう人がいるかいないかはわかりませんが、「カントリー・ロード」や「耳をすませば」がそもそも大嫌いだ、という人の立場は、大げさに言えば人権の面からいったいどうとらえればいいのでしょうか。
私は長いことJR総武線の水道橋駅を利用していませんが、さきほどウィキペディアで調べたら、ここ数年ずっとジャイアンツの応援歌を流しているそうですね。私は大のアンチ巨人ですから、「嫌いじゃない音楽」なら、なんとか我慢してその駅を利用することもできるでしょうが、巨人の応援歌が流れているなら水道橋駅は2度と利用したくありません。
どうしても駅で「カントリー・ロード」であれなんであれ音楽を聞かせたいのなら、専用の防音ブースでも用意して、そこに「ファン」とやらを閉じ込めて聞かせてやればいいのです。煙草は今どき大抵の店で喫煙室で吸えと強制されるのですから、音楽を聞きたい人はそのために「聴音室」にでも行くべきでしょう。そしてその部屋では、10分で100円くらい徴収してほしいですね。一部のファンのため運賃に「聴音室」のコストが加算されるのはまっぴらですから。
まあ、ほとんどの人は「別に耳すまだろうがなんだろうが、どうでもいいよ」と思うのでしょうが、それがまた問題ですね。
私は日本人の公共の場での態度をここまで破壊し尽くした元凶は「ウォークマン」(とりあえずこの名称で書きます)と「携帯電話」だと考えています。「ウォークマン」で耳をふさぎ、「携帯電話」で目をふさぐ人たちは、周囲の情報をシャットアウトして、無意識のうちに、どこにいても自分だけの世界に浸りたいと考えているのだと思います。
駅のような公共の場で、本来の意味での「電車の接近を知らせる音」が鳴るのはおかしなことではありません。しかし、それを「音楽」という趣味性嗜好性の高いものにした途端、「ああ、また余計な情報(&自分の好みに反する情緒)だ」と無意識に判断して、「ウォークマン」で自分を防御しようとする人がさらに増えるでしょう。
余計な音楽や放送を垂れ流す→それをシャットアウトする人が増える→鉄道会社は無理矢理にでも聞かせようとして、ますます音楽を流したり音量を大きくしたり放送をくどくしたりする→さらにそれをシャットアウトする人が増える→鉄道会社は無理矢理にでも……という悪循環が繰り返される。そしてますます駅が危険で猥雑きわまりない場所になっていく。
私も去年から電車に乗るときは耳栓をすることが増えました。そうでもしないととても耐えられないからです(ウォークマンは使いません。耳からの情報の侵入を防ぐため、別の情報で上書きをするというのは、私に言わせればそれ自体が騒音をまきちらす行為に荷担していると思いますので、あくまで耳栓を使い「情報を無くすこと」で対抗します)。
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カテゴリ:駅・車内
2012-02-17 Fri 09:40:01
・病院の待合室のBGMですが、半年ぶりに行ったところなくなっていました。
テレビの音声は相変わらず出ていましたが、こちらはごく小さな音量なので、気になるレベルではありません。
ほんの小さなことですが、苦情を出したかいがあったというものです。
・「町を明るくする会」の運動員を怒鳴りつける
の正体がわかりました。
「社会を明るくする運動」というのだそうです。私は初めて知りました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%82%92%E6%98%8E%E3%82%8B%E3%81%8F%E3%81%99%E3%82%8B%E9%81%8B%E5%8B%95
人様の前に大人数で立ちふさがり、肉声や拡声器で絶叫しながらビラを押しつける。そんな活動のどこが「社会を明るく」するものなのか、さっぱりわかりません。
この運動は毎年7月が「強化月間」だそうで、確かに去年、遭遇したのも7月だったのですが、今年もまたどこかで、こうした壮絶な迷惑行為に遭遇してしまうのでしょうか……。
「社会を明るく」したいのなら、騒音や立ちふさがりで人様の生活を邪魔し、怒らせるような真似はしないでほしいものです。それが「社会を明るく」するための最低限のルールというものではないでしょうか。
どいつもこいつも、やることがおかしいです。
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カテゴリ:騒音をめぐるあれこれ
2012-02-10 Fri 23:47:20
1週間ほど前にも、東京メトロに苦情を言いました。南北線麻布十番駅の改札を出て少し離れた通路で、「ミスタードーナツ」のおそらく臨時店舗(?)なのでしょう、山下達郎の音楽をガンガン鳴らしながら、テーブルを広げてドーナツを売っていました。
すぐ改札に戻り、案内所にいた職員に「あのような大音量の音楽をなぜ許可するのか。やめさせなさい」と言っておきました。
職員は困った顔で「はい、はい、そうですか」と繰り返すだけ。
こちらは仕事の打ち合わせがあったので、1~2分ほど苦情を言ってすぐ立ち去りましたが、約2時間後、同じ改札に戻ってきたときも、まだ山下達郎が大音量で鳴り響いていました……。
自動放送の設定を変えるなどの面倒なことではなく、ただ「ミスタードーナツ」の店員に「その音楽に苦情があったので控えるように」と言うくらい、なぜ苦情を寄せられたら駅の判断で、その場ですぐできないんでしょうかねえ。
公共の場で大音量を出すことについてのモラルが、場所を貸す側、借りる側ともあまりにも低すぎますね。駅にとって店から入る賃料は貴重な収入源かもしれませんが、あくまで鉄道会社の本業は「乗客を安全・快適に輸送すること、そのための環境を提供すること」であるはず。乗客と店とで店を都合を優先するのですから、あまりにも鉄道事業者としての意識が低すぎます。
帰りに通りかかったときは、仕事の取引先と一緒だったので再度苦情を言うことはせず、同じ職員が案内所にいたのでにらみつけておいただけでした。
まあ、なーんにも気づいていないような顔をしていしたが。
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カテゴリ:店・施設・商店街
2012-02-09 Thu 14:26:50
西友某店で、サービスカウンターの中からマイクを通して「ウォルマートカードただいま入会ご案内中です!」という声を張り上げていた女の子に、「うるさくてゆっくり買い物ができない。やめなさい!」と半分怒鳴るように苦情を言いました(ちょうどそのときの放送が終わる直前だったようで、困ったような顔をしながら終了していました)。その後、買い物が終わる頃にはその子がカウンターの外で勧誘をしていた(生声ではそれほど張り上げていなかった)ので、怒鳴ったことをあやまるとともに、あのような放送を大音量で流すことの迷惑さについて話し、「あなたも上の指示でやっていることだろうから、あなた個人を責める気はないので、ちゃんと今の苦情を上に伝えてください」と言っておきました。
まあ、何が迷惑なのか全然ピンときていないようで、最後までポカンとした顔つきをしていましたが……。
私の近隣にあるスーパーの中では、西友は店舗にもよりますが店内の音楽、案内放送、売り場のラジカセ等からの放送、店員の声の張り上げ、エスカレーターの「手すりにつかまり」放送などが、全般的にほかのスーパーより音量が小さく、しつこくないので、比較的快適に買い物ができる店です(比較すればマシというだけで、本当に快適というわけではありませんが)。
しかし唯一の難点は、西友はこのウォルマートカードの勧誘をときどきやるのですが、そのときの生声絶叫、あるいは今日のようなマイクを通した放送だけは非常にうるさく、以前は別の店で生声で絶叫連呼していた店員(スーツだったので本社から来た社員?)を本気で怒鳴りつけたこともあります。
西友は上記の通り比較的うるさくない店なので、いずれ機会を見て本社に「西友は全般的にうるさくないので非常に良い店です。他のスーパーにも見習ってほしいと思うくらいで、これからもぜひこの状態を続けてください。ただし、ウォルマートカード勧誘時の絶叫だけはやめてください」という要望を出そうと思っていたのですが、どうなることやらという感じです。
おまけに、このような行動をとるのは非常にエネルギーのいることで、心底疲弊してしまいますが、今日は「397円のみかん」を買うつもりが苦情を言ったせいで頭が落ち着かず、間違えて「445円のみかん」を買ってしまいました。本当に時間も気力も、おまけに金まで損をするばかりです。まあ自業自得ですね。
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カテゴリ:店・施設・商店街
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